所有する土地や購入を検討している土地のなかには、建築工事の前に擁壁（ようへき）工事が必要な場所があります。
しかし、擁壁工事という言葉を初めて聞く方も多く、その必要性や工事内容がわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、擁壁工事とはどのようなものなのか、工事の種類や工事費用について解説します。
土地の斜面に対しておこなわれる擁壁（ようへき）工事とは
擁壁工事とは、主に傾斜地など高低差のある土地にマイホームなどを建てる際におこなわれるもので、建物を支える斜面の土が崩れないように構造物を設置する工事のことです。
擁壁工事は、坂道や崖などの斜面ほか、住宅地を造成するために切土や盛土で道路との高低差が生まれる場所でおこなわれます。
ただし、高低差のある土地のすべてでこの擁壁工事が必要なわけではなく、高低差が2m以上ある場合に自治体が定める「がけ条例」によって義務付けられているケースがほとんどです。
擁壁工事をおこなう際には自治体への申請が必要で、申請から認可までは1か月程度かかります。
この許可が下りなければ建物の建築申請ができないため、早めに対応するよう注意してください。
土地の斜面でおこなわれる擁壁工事の種類とは
擁壁工事では、使われる素材と作られる擁壁の形にいくつかの種類があります。
擁壁工事でよく使われるのは鉄筋コンクリートで、そのほかにも低コストで施工できるコンクリートブロックや石積みも使われます。
ただし、自治体によっては条例で素材を規定しているところもありますので、注意しましょう。
また、擁壁の形には、L型・逆L型・逆T型といった種類があります。
これは、擁壁を支える地中部分の形を表したもので、敷地条件などによって使いわけられるのが一般的です。
擁壁工事では敷地を効率よく利用できるL型が広く使われていますが、低いほうの土地に家を建てる場合には逆L字型が用いられます。
土地の斜面でおこなわれる擁壁工事にかかる費用とは
ポピュラーな鉄筋コンクリートで擁壁工事をおこなう場合、1㎡あたり5万～10万円程度が費用の目安です。
一般的な住宅の擁壁工事であれば、総額で数十万から数百万円程度かかると考えてください。
擁壁工事の費用は施工する高さと幅によって違うだけでなく、斜面の角度・エリア・立地・地盤・道幅などによっても変わります。
擁壁工事に立地は関係がないと思われるかもしれませんが、利用する残土処分場や運搬のための高速道路までの距離も無関係ではありません。
また、重機が搬入しやすい立地であるかといった点や地盤調査の結果によっても工事にかかる費用が変わるのも、予算を考えるうえでの注意点です。
ただし、自治体からの補助金が利用できるケースがほとんどですので、事前にチェックしてみましょう。
まとめ
傾斜のある土地の擁壁工事とは、斜面が崩れるのを防ぐためにおこなわれるものです。
擁壁工事には、鉄筋コンクリート・コンクリートブロック・石積みなど素材の種類や、擁壁の形にいくつかの種類があります。
立地や地盤調査によって費用がかかる点には注意して、擁壁工事を検討してみてください。
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